オペラ・レポート Opera Report
ローマ・カラカラ浴場野外音楽祭 2014年7月14日 (K.F様)
F様、大変お待たせしました。3年以上前のことですが、面白い経験を送ってくださったので、お知らせいたします。
昨晩、ローマ・カラカラ浴場野外音楽祭で家内と二人で「ラ・ボエーム」を楽しんできました。 が、ちょっと変わったことがあったのでお知らせします。
席はほぼ満席でした。
開演予定は21:00だったのですが21:30になっても一向に始まる気配がありません。
見ていると裏方がグランドピアノをオーケストラボックスに運んできて設置しています。
実は昨日は夕方から20:00ころまで激しい雷雨で、観客席の椅子もずぶ濡れの状況だったので、ピアノを雨宿りさせていたのか、と思っていました。 ところが、黒いスーツのマネージャーらしき人がステージに現れてなにやら説明を(もちろんイタリア語で)始めました。
すると観客からは沢山のブーイング、良く分からないでいると親切な隣のイタリア人が英語で説明してくれました。
それによると、
1.楽団員(の一部?)が「ストライキ」を起こしたのでオーケストラによる演奏ができない。
2.オペラはピアノ伴奏だけで行う。
3.これに不満の方は今なら退場することができ、入口のチケットカウンターで料金を返却する。
ということでした。
どうしようか迷ったのですが、せっかくなので私たちはそのままオペラを見ることにしました。 周りを見ると3割くらいの観客が退場した感じです。
ピアノ演奏の段取りがよく間に合ったな、と感心していたのですが、考えてみればオペラの練習はピアノ伴奏で行ったはずですよね。 それに使った楽譜もあるはずです。指揮者と女性ピアニストの2人だけの演奏によるオペラが始まりました。
舞台演出が変わっていて非常に面白いものでした。添付写真のように、野外で幕がないので幕の後ろで舞台道具を組みなおすことができません。 そこで、舞台にいくつものスクリーンを設置して、それぞれの幕・場の設定ごとにそこに様々な背景をプロジェクターで投影していく、というやり方です。 さらにスクリーンのみならず、後ろの遺跡そのものにもプロジェクションするので、ステージと遺跡が文字通り一体となって効果的です。写真の真ん中あたりの「塔」のようなものがプロジェクションされた遺跡です。
そして00:00にオペラ終了、30分以上遅く始めたのに終了時刻が予定通りだったのは、多分オーケストラのみによる序奏や間奏が省略されたからでしょう。 観客からは、オペラの出演者よりもたった一人で演奏をやり遂げた女性ピアニストへの拍手と「ブラバー」の嵐です。
私たちももちろん満足して帰宅しました。
2014年からすっかり多忙で、精神的にいっぱいいっぱいで、レポートの更新をしておりませんでした。大変お待たせしてしまったことを、心からお詫び申し上げ、深く反省いたします。