オペラ・レポート Opera Report
シャンゼリゼ劇場「アリオダンテ」 2011年5月 (M.T様)
T様は、今回初めてチケット手配いたしました。1か月前くらいに5公演お申込みいただきましたが、バスティーユの完売2公演も何とかリターンチケットで手配できました。オペラ・コミークのアティスは本当に無念が残ります(以下をお読み頂ければわかります・・・)。
このたびの旅行では大変お世話いただき、ありがとうございました。
今回の主目的は、ブルゴーニュのヴェズレーのロマネスク教会訪問でしたが、音楽でも溝口様の御手配で多くのコンサートを楽しむことが出来ました。主な所では、バスティ―ユ・オペラのトスカとフィガロの結婚、シャンゼリゼ劇場でのヘンデル、ザール・プレイエルでのヤルヴィ指揮パリ管弦楽団などでしたが、その中では、シャンゼリゼ(アールヌーヴォー様式の素晴らしい劇場でした!)でのヘンデルのアリオダンテ(アラン・カーティス指揮イル・コンプレッソ・バロッコ)が見事でした。
- Georg Friedrich Handel
- ≪ARIODANTE≫
- Direction: Alan Curtis
- Ariodante: Joyce DiDonato
- Polinesso: Marie-Nicole Lemieux
- Ginevra: Karina Gauvin
- Dalinda: Sabina Puertolas
- Lurcanio: Nicholas Phan
- Le Roi: Matthew Brook
- Giustiniani Odoardo: Anicio Zorzi
- Il Complesso Barocco Lyrique avec Puertolas
舞台なしの演奏会形式だったのが残念ですが、カーテイスの指揮は、ミンコフスキーのような切れ味こそありませんが、じわじわ盛上がり、3幕のアリオダンテの大アリアではオケともども最高の演奏でした。アリオダンテのジョイス・ディドナトは、暗めの声でちょっとアジリタのテクニックが甘いかと思いますが、可憐な細身の容姿ともどもの大熱唱で、満場のブラヴォーを受けておりました。終演が11時20分頃になったにも係らず満席の聴衆は総立ちで大沸きでした。ルイ14世全盛時代に、当時のオペラ・ファンがイタリア派とフランス派に分かれて、激烈な論争が繰り返したというこの200年後の花のパリで、イタリア派のヘンデルがこのように高く評価されるとはまったく意外でした。帰りの深夜メトロで若者がアリオダンテの最後のアリアを高らかに口ずさむなど信じられます?ブッフォン論争は終わっていない!
今回で最も残念だったのは、完売だった5月19日のウイリアム・クリスティ指揮リュリのアテイスを、せっかく溝口様に確保して頂きながら連絡ミスで行けなかった事でした。
1987年の上演されたウイリアム・クリスティ指揮のリュリのアテイスは衝撃的大成功を収め、それまで殆ど顧みられることがなかったリュリなどフランス・バロック・オペラの復興のキッカケとなりましたが、今回その伝説的公演の再演は大きな話題となっておりました。既にチケットはとうに完売でしたが、間際になってこの公演を聴きたいという私のムリなお願いに、溝口様には奇跡的努力でチケットを確保して頂きながら、ホテルの連絡ミスで公演に行けなかったのは誠に申し訳なく、今だに悔やみ切れない痛恨事でした。
幻となった公演後に、今まで敬遠していたヴェルサイユに初めて出かけて、壮麗な宮殿と素晴らしい宮廷礼拝堂を見ながら、自分は今までフランス・バロックをまったく誤解していたと思い知らされて痛烈なショックを受け、記念碑的公演を聴き逃した無念さが募るばかりでした。
しかしまだまだこれからです、新規巻き直し。今後さらに努力を重ねて音楽の範囲を拡げ、次回はもっと準備周到、溝口様に早目御手配をお願いして、この無念を晴らしたいと念じております。
溝口様、今回は本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
T様、熱のこもったレポートありがとうございました。大変バロック・オペラにお詳しく、いつも感心いたします。アティスのチケットは本当に残念でしたが、アリオダンテに大変満足して頂けたようで、安心いたしました。今後もどうぞよろしくお願いいたします。