オーケストラ・レポート Orchestra Report
チェコフィル、ウィーンフィル 2010年4月 (I.K様)
K様は、大変なクラシック(特にオーケストラ!)ファンでいらっしゃって、海外へご旅行される際には、いつも各国の有名オケのチケットを手配させていただいております。
プラハ
今回の音楽旅行の目的はプラハのルドルフヌムにあるドボルザークホールを実際に聴くことでした。このホールのすばらしさは若い頃からLPレコードで聴き知っていました。オーケストラはもちろんチェコフィルです。日本で何度かはチェコフィルのライブ演奏は聴いていますが、本当のところは本拠地のホールで聴いてみなければ、そんな思いがここ数年募っていました。
ルドルフヌムのドボルザークホールの響きはその意匠とともに誠にすばらしいものでした。大ホールとしてのサイズはかなり小さい、普通の大ホールの後ろ半分を切り取ったような感じで、座席数は1000席程度と思われます。また座席が後ろにいくに従いかなりせり上がり舞台が見やすくなっていました、年代物のホールの席としてはその工夫に感心しました。現代のホールの意匠は総じてすっきりとしていますが、歴史的なホールの装飾は実に見事かつ優雅です。見ているだけでも飽きません。
初日は弦楽四重奏ターリッヒカルテット、そして2日目3日目はチェコフィルと計3回聴きましたが、日本でいつも聴いている素晴らしいエクストンの江崎録音からの期待に違わぬ美しい響きでした。チケットも1枚3000円程度でびっくりするほどリーゾナブルでした。
一曲目のシベリウスのバイオリンコンチェルト、これも大変良かった、そしてラストの曲はショスタコービッチの第5番でした。今回のホーネック、チェコフィルは快活にアップテンポかつ充分にドラマチックに進む演奏でしたが、特に2日目の演奏がすばらしいものでした。
ウィーン
楽友協会・ウィーンフィル 今回のウィーンでは中心が楽友協会ホールでのクリスチャン・ティーレマン指揮ウィーンフィル、ベートーヴェン第9番「合唱」でした。これは一つの事件なのです。24日、土曜午後と25日、日曜午前の2日間、2度とも聴きましたが、特に土曜日は名演奏だったと感じます。
この楽友協会ホールでウィーンフィルを聴くのは今回が初めてでした、やはりすばらしい。前回訪問の時はウィーン交響楽団中心でした、それも誠に素晴らしかったのですが。楽友協会ホールでウィーンフィルを聴くことは音楽マニアの一つの夢と云っても良いでしょう。
わたしはウィーフィルの演奏を日本のいくつかの名ホール、そしてベルリンのフィルハーモニーホールでも聴きましたが、やはり彼らの真価は本拠地楽友協会ホールでの演奏をもって語るべきなのだと感じました。彼らは凄い、今回それを実感した次第です。
ティーレマンの指揮は予想通りというかそれ以上にダイナミック、ロマン派系なのですが、それでも現代的アップテンポな体育会系的指揮も自在に入り込む演奏です。フルトヴェングラーやバレンボエムほどにはダイナミックレンジを拡げない、つまり音量の大小を付けない気がしましたが、テンポはかなり大胆に揺らしていました。とにかくウィーンフィルを土台からパワフルに鳴らす感じでした。4楽章最後のオーケストラが壊れてしまいそうなほどの突進も実に壮絶であり、全曲が終わったとき、もちろん私見ですが、あの偉大なフルトヴェングラーのバイロイトの第9にも比すべき歴史的演奏だった、との確信を抱きました。
記念すべき、初レポートをご寄稿いただき、ありがとうございました!!